労働者派遣事業とは・・・
派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいいます。
♢労働者派遣事業の種類
平成27年の労働者派遣法の改正により、「一般労働者派遣事業(許可制)」と「特定労働者派遣事業(届出制)」の区別が廃止され、すべての労働者派遣事業が「許可制」となりました。
これにより、労働者派遣事業を行う場合は、厚生労働大臣の「許可」を受けなければなりません。
♢労働者派遣事業の適用除外業務
次のいずれかに該当する業務での労働者派遣事業を行ってはなりません。
(1)港湾運送業務
(2)建設業務
(3)警備業務
(4)病院等における医療関係の業務(紹介予定派遣の場合、産前産後休業等を取得した労働者の業務である場合、
医師の業務であって就業の場所がへき地にある場合を除く。)
(5)その他
・人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労使協定の締結等のための労使協議の際に
使用者側の直接当事者として行う業務
・弁護士ほか8資格の業務
・建築事務所の管理建築士の業務
♢派遣先における期間制限
平成27年の労働者派遣法の改正により、施行日以降締結又は更新される労働者派遣契約では、すべての業務に対して、派遣期間に次の2種類の制限が適用されます。
①派遣先事業所単位の期間制限
同一の派遣先の事業所に対し、派遣できる期間は原則3年が限度となります。
派遣先が3年を超えて受け入れようとする場合は、派遣先の過半数労働組合等からの意見を聴く必要があります。(1回の意見聴取で延長できる期間は最大3年まで)
②派遣労働者個人単位の期間制限
同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(※)に対し派遣できる期間は、原則3年が限度となります。
※いわゆる「課」などを想定しています。
○以下の方は、例外として期間制限の対象外となります。
・派遣元で無期雇用されている派遣労働者
・60歳以上の派遣労働者 など
♢労働関係法に係る派遣元及び派遣先が負う責任について
労働基準法、労働安全衛生法等労働関係法については、原則として派遣元事業主が雇用主として責任を負いますが、一部派遣先が責任を負うものがあります。
●派遣元が責任を負う事項は、
(1)労働契約、(2)賃金、(3)変形労働時間の定め、時間外、休日労働協定の締結・届出、(4)年次有給休暇、(5)産前産後休業、(6)災害補償、(7)就業規則、(8)安全衛生教育(雇入れ時)、(9)職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮、(10)妊婦等の健康管理に関する措置など
●派遣先が責任を負う事項は、
(1)労働時間、休憩、休日、深夜業(年少者等)、(2)育児時間、(3)生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置、(4)安全衛生教育(危険有害業務就業時)、(5)労働者の危険または健康障害を防止するための措置、(6)就業制限、(7)職場における性的な言動に起因する問題に関する就業管理上の配慮、(8)妊婦等の健康管理に関する措置など
労働者派遣と請負
♢労働者派遣事業と請負の区分の必要性
労働者派遣と請負とでは、労働者の安全衛生の確保、労働時間管理などに関して、請負の場合の(雇用主たる)請負事業者と発注先が負う責任区分と、労働者派遣の場合における派遣元と派遣先が負うべき責任区分が異なります。
このため、業務の遂行方法について、労働者派遣か請負かを明確にし、それに応じた安全衛生対策、労働時間管理の適正化を図ることが必要です。
♢労働者派遣と請負の区分について
請負とは、注文主と労働者との間に指揮命令関係が生じません。
注文主と労働者との間に指揮命令関係がある場合には、たとえ請負形式の契約が行われていたとしても「労働者派遣事業」に該当し、労働者派遣法の適用を受けます。
この区分の実際の判断は必ずしも容易ではないことから、この判断を行うための基準が定められています。